2011年10月16日から、このブログを書き始めました。 サマゴーンは、ラムカムヘン通りの北、ソイ110に位置する、 バンコクでも歴史が長い有名大住宅街(と言われているよう)です。 戸数、5000の、キング・プロジェクトで開発された、かなり大きなムー・バーンです。 ロングステイを一歩踏み込んだ生活となりましたので、 都心から離れ、しかし、まったくの田舎暮らしでもない、こういうところもいいのか、 と思って住み始めました。 さて、どんな生活になることでしょうか。

僕は、たまたまにしか、現代詩を読まないので、

黒田三郎という詩人を知りませんでした。

佐古祐二さんの評論、『抒情の岸辺』という本で、

最初に取り上げられている詩人として、知りました。

「俗な市民」としての視線を崩さずに、試作に取り組んだ方のようです。

そして、彼が、のっぴきならぬ存在として、

迫ってきます。

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< もはやそれ以上 >

もはやそれ以上何を失おうと
僕には失うものとてなかったのだ
河に舞い落ちた一枚の木の葉のように
流れてゆくばかりであった

かつて僕は死の海を行く船上で
ぼんやり空を眺めていたことがある
熱帯の島で狂死した友人の枕辺に
じっと坐っていたことがある

今は今で
たとえ白いビルディングの窓から
インフレの街を見下ろしているにしても
そこにどんな違った運命があることか

運命は
屋上から身を投げる少女のように
僕の頭上に落ちてきたのである

もんどりうって
死にもしないで
一体だれが僕を起こしてくれたのか
少女よ

そのとき
あなたがささやいたのだ
失うものを
私があなたに差上げると


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戦争をへて、すべてを失った、

どん底の詩人が巡り会った、

少女。

現在の、

黒田三郎夫人、

だそうです。

詩集、『ひとりの女に』には、

11篇の愛の詩がうたわれている。

詩壇の最高峰、

H賞を受賞しました。

人によると、戦後最良の恋愛詩集、

だそうです。




^O^


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昨日、ある映画好きの方が、

たぶんネットサーフィンをしていて、

偶然僕のサイトにアクセスしてくれたようなのです。


その方のブログで、表題の「ジュリエットからの手紙」が

紹介されていました。

(日本語題は、ジュリエットからの手紙、ですが、

英語の原題は、ジュリエットへの手紙、です。

内容をからみると、どちらも正解のタイトルです、面白いですね)



イタリアの、(ロミオとジュリエットの)、

ジュリエットの生地である町ヴェローナで、

物語が始まります。

そこは、観光地で、世界中から、心に傷をおった

女性たちがやってきて、ジュリエットの館の壁に、

嘆きの文を結びつけていく習わしがあります。

それらの手紙は回収されて、「ジュリエットの秘書」

と呼ばれるスタッフによって、返信が書かれます。


ヒロインのソフィーがその壁の石の崩れた隙間から、

50年前に書かれ、まだ返信されていない手紙を

発見し、彼女が手紙を書くのです。


その発端の手紙は、50年前に、イタリアを訪れ、

恋に落ち、駆け落ちの約束をし、しかしその待ち合わせの

場所にはいかず、イギリスに逃げ帰ったクレアという女性

からの手紙でした。


Claire's letter to Juliet
Juliet
Verona

Claire Smith
Belworth Hill
Watlington
Oxfordshire
England

Verona 1957

I didn’t go to him, Juliet.
I didn’t go to Lorenzo. His eyes were
so full of trust. I promised I’d meet him
to run away together.
Because my parents don’t approve.
But instead I’m here in Verona
at the very moment Lorenzo
is waiting for me, below our tree
waiting and wondering where I am.
I return to London in the morning,
and I’m so afraid.
Oh please Juliet, tell me
what should I do.
my heart is breaking and I have
no one to turn to.
love
Claire


この手紙の返信を受けて、クレアがイタリアにやってきて、

50年前の恋人探しを始めるのです。


そのソフィーからの返信はこういう手紙です。


Dear Claire,

"What" and "If" are two words as non-threatening
as words can be. But put them together side-by-side
and they have the power to haunt you for the rest of
your life: What if? What if? What if?
I don't know how your story ended but if what you
felt then was true love, then it's never too late.
If it was true then, why wouldn't it be true now?
You need only the courage to follow your heart.
I don't know what a love like Juliet's feels like:
love to leave loved ones for, love to cross oceans for,
but I'd like to believe if I ever were to feel it,
that I'd have the courage to seize it. And Claire,
if you didn't, I hope one day that you will.

All my love,
Juliet


この中で、WHAT IF?

がキー・ワードとして、使われています。

もし~~だったら、どうする?

この映画に即して言えば、(しつこいですが)

「もし、それが、真実の愛だったら、どうすればいい?」


20140509letterjuiiet



もちろん、ストーリーはハッピィ・エンドで終わります。


妻のゴイは、ハッピィ・エンドで終わるロマンスが

大好きなので、視聴しました。


ジュリエットからの手紙(Letters to Juliet)


この映画を見ながら、思い出していたのは、

永瀬清子さんの、

あけがたにくる人よ

という詩でした。


   もう過ぎてしまった
   いま来てもつぐなえぬ
   一生は過ぎてしまったのに
   あけがたにくる人よ
   ててっぽっぽうの声のする方から
   私の方へしずかにしずかにくる人よ
   足音もなくて何しにくる人よ
   涙流させにだけくる人よ


このフレーズを、

ラジオ深夜便で、明け方、うつろう意識のなかで

聴いたとき、

総毛だつような、

どぎまぎする思いが押し寄せたことを、

まざまざと記憶しています。


誰にも、似たような、青春時代に起きたことで、

今でも引きずっているような、

意識の深い底に、

無理にも押し込めてしまっているような、

そんな秘めやかな経験や想いが、

あるのではないでしょうか。


What if?

もし、それが、真実だったのなら、どうしたらいい?

人生に遅すぎることはない、

と映画ではうたっているのですが・・・。








^O^


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日本の家の庭に、木瓜の花がある。


僕が帰国していた2週間、ずっとその花を楽しんだ。


帰国したその日は、梅が咲いていたのだが、

翌日には、春の雨に、花びらを落とし始め、

やがて裸木になってしまったのだが、

木瓜の方は、なかなかしぶとく、ゆっくりと花を増やし

続けたのであった。



20140321boke1
帰国翌日の3月21日。



20140321boke2
同。



20140401tree2
タイに戻る前日の4月2日。
上から約2週間後です。
緑葉を伴いながら満開です。


ある本を読んでいたら、漱石が木瓜の花を好んだ、

とあった。


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木瓜はおもしろい花である。

枝は頑固で、かって曲がったことがない。

そんなら真っ直ぐかというと、決して真っ直ぐでもない。

・・・・・

木瓜は花のうちで愚かにして悟ったものであろう。

世間には拙を守るという人がある。

その人が来世に生まれ変わると、きっと木瓜になる。

余も木瓜になりたい。

         (草枕)

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そして、


木瓜咲くや 漱石拙を 守るべく


と句に詠んでいる。


漱石に関する本を読んでいると、

こころが和むようなエピソードに数多く出会う。


有名な「懐手の学生」というのがある。

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漱石がシェークスピアの講義中の教室で、

いつも懐手をしている学生がいる。

漱石が注意すると、隣の学生から、

「この人は、手がないのです」と教えられ、

赤面した漱石、

「こっちも、ない知恵を絞っているんだから、

君もたまには、ない腕でも出してくれたまえ」

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漱石の機知、ユーモアがよく表れています。


漱石は、博士号授与を辞退しました。

つむじ曲がりとか、反権力志向などとみるより、

単に、一介の個人として生きたかったのだと思う。


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「余の博士を辞退したのは、徹頭徹尾主義の問題である。

小生は是から先も矢張りただの夏目なにがしで暮らしたい

希望をもって居ります」。

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やはり、漱石には、木瓜が似合うようです。


僕も、木瓜が、

好きになりました。







^O^


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いつでも、どこでも、かんたんに、

好きな詩を読めるように、ブログに書き留めておく

ことにしました。




伊藤整 詩集

冬夜


< もう一度 >

みんながあの日の服装で

あの日の顔つきで 落葉松の緑が萌えてゐる道を 

笑ひながらもう一度やって来ないかな。

そのときこそは間違ひなく

本当に生き直したい。

あの過ちをすべて とりかえしたい。



< 林で書いた詩 >

やつぱりこの事だけは言わずに行かう。

今のままのあなたを生かして

寂しければ目に浮かべてゐよう。

あなたは落葉松の緑の美しい故郷での

日々の生活の中に

夢みたいな私のことは

刺のやうに心から抜いて棄てるだらう。

私の言葉などは

若さの言わせた間違ひに過ぎないと極めてしまふだらう。

何時か皆人が忘れたころ私は故郷へ帰り

閑古鳥のよく聞こえる

落葉松の林のはづれに家を建てよう。

草藪に蔽われて 見えなくなるような家を。

そして李が白く咲き崩れる村道を歩いて

思ひでを拾い集め

それを古風な更紗のようにつぎ合わせて

一つの物語にしよう。

すべてが遅すぎるその時になったら私も落ちついて

きれぎれな色あせた物語りを書き残そう。





井上靖 詩集


カチリ

石英の音




(詩集「北国」あとがきから。井上靖に「詩のこころ」を植え付けた
 友人の3行詩。)


< 不在 >

音信不通になつてから七年になるが、実はその間

に一度、私は汽車にゆられ、船にのり、その人を

訪ねて行つた。が、その人は学校の父兄會に出掛

けて不在だった。私は黙って気付かれぬやうにし

てまた帰つてきた。

神の打った終止符を、私はいつも、悲しみといふ

よりむしろ讃歎の念をもって思ひだす。不在とい

ふそのささやかな運命の断層に、近代的神話の香

気を放つたのは誰の仕業であらうか。実際、私の

不逞貪婪な視線を受ける代りに、その人は、窓越

しに青葉の茂りの見える放課後の静かな教室で、

躾けと教育についてこの世で女の持つ最も清純な

会話を持つてゐたのだ。



< ある旅立ち >

花束が投げ込まれたやうに、夕闇のたてこめた車

内は急に明るくなつた。紀伊の南端の小さい漁村

の駅から、三人の姉弟が乗り込んできた。・・・

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^O^


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プロフィール

im9p

Author:im9p
im9p = I am a Cupid. ^O^
このキューピーさんの絵は奥さんのゴイ作です。
退職後、ロングステイ先を求めてタイにやってきたのが2008年。あせらず、あきず、あきらめず、いつまでも成長していける心で、豊かに生きることを願っています。産業カウンセラーの資格を退職後に取得。モットーは、あ・た・ま=明るく、楽しく、前向きに。

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